基本設定
人類と「星人」との戦いを描いたアクション作品。星人と戦う登場人物は何らかの理由で1回死んでおり、ガンツと呼ばれる黒い球によって復活させられている。
現実世界と同じく人間は死によって永遠に失われる。しかし物語終盤において、高度な科学力を持つ異星人から輪廻転生の可能性を示唆する言葉が出る。
本作では全編を通じて生命と自我に関する非常に踏み込んだ描写が見られる。
死にまつわるエピソード
ガンツ
「てめえ達の命は、なくなりました。新しい命をどう使おうと私の勝手です。という理屈なわけだす。」
という言葉にあるように、ガンツは死亡した人間を復活させ、星人との戦いに利用している。登場人物の一人である西によれば、今の自分たちはあくまでコピーであって、死んでしまった本体とは別な存在である。「スワンプマン」に近いものと考えられる。
ある男がハイキングに出かける。道中、この男は不運にも沼のそばで、突然 雷に打たれて死んでしまう。その時、もうひとつ別の雷が、すぐそばの沼へと落ちた。なんという偶然か、この落雷は沼の汚泥と化学反応を引き起こし、死んだ男と全く同一、同質形状の生成物を生み出してしまう。
この落雷によって生まれた新しい存在のことを、スワンプマン(沼男)と言う。スワンプマンは原子レベルで、死ぬ直前の男と全く同一の構造を呈しており、見かけも全く同一である。もちろん脳の状態(落雷によって死んだ男の生前の脳の状態)も完全なるコピーであることから、記憶も知識も全く同一であるように見える[1]。沼を後にしたスワンプマンは、死ぬ直前の男の姿でスタスタと街に帰っていく。そして死んだ男がかつて住んでいた部屋のドアを開け、死んだ男の家族に電話をし、死んだ男が読んでいた本の続きを読みふけりながら、眠りにつく。そして翌朝、死んだ男が通っていた職場へと出勤していく。
https://ja.wikipedia.org/wiki/スワンプマン
和泉紫音
一度ガンツから解放されたが大量殺人の末に死亡。再びガンツの住人となる。作中ではガンツの部屋に戻った和泉の喜ぶ様子が描かれるが、西の発言に基けばこの和泉は死んだときの和泉とは異なる自我を持っていると考えられる。
しかし本人はそれまでの記憶を持っているので、自分がそのとき再構築された存在だと知らない。元の和泉は死んで永遠に自我を失い、新たな和泉がそのとき誕生したものと考えられる。
神のような異星人
物語の終盤、巨人との戦いを終えた人類の前に現われる。高度な科学力に基いた、生命についての重要な話をする。
地球人を『ただの物質』、その命は『チリやゴミ』、そしてその感情さえも『微弱電気の流れによる現象』『電化製品となんら変わらず、違いはより複雑かどうかだけ』とまで断言した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/GANTZの登場人物
何もないところから人体を再構築し、それが正しく動作する様を見せつけ、その上で破壊する。これにより生命が単なる物でしかないことを人類に示した。
一方でその魂が輪廻転生することを認めており、ある人間の魂が次の人生を誰として過ごすことになるのかを把握している。魂についてはまだ彼らも未解明の部分があるとしている。
考察
転送先を2か所にすることはできるか?
GANTZは人間を任意の場所に転送できる。細いレーザーのようなものを身体に照射し、CTスキャンのように人体を輪切りしながら別な場所に移動させる。全身の転送には数秒を要するが、転送中も行動は可能である。であるから転送中も転送先と転送元は接続されているものと考えられる。
作中においては転送は1点から別な1点へのものしか描かれないが、これが2点への転送となったらどうだろう。転送元は1か所。しかし転送先が2か所になったらどうなるか。
西が語ったように、そもそもGANTZの住人はオリジナルのコピーでしかない。同じ記憶を持っているからオリジナルと同じように振る舞うが、実際は別人だ。2か所への転送はコピーを1枚増やすだけだとも考えられる。おそらく、転送先で脳が構成されはじめた時点で人格が二つに分かれ、最終的には二人の人間が誕生するだろう。
だがひとつ問題がある。脳の活動は電気的なものだとされる。転送中も脳は活動しているが、転送先からの電気的影響は転送元にどのような伝わるのか。
転送先がひとつであれば、脳のある1点は転送先と転送元で1対1に対応する。しかし転送先が二つある場合、脳のある1点が転送先と転送元で1対1に対応しない。この場合に、転送元からの電気的影響が転送先に伝わることは直感的に理解できるが、転送先からの電気的影響がどのように転送元に伝わるかは簡単には答えが出ない。
例えば額のあたりまで転送が進んだ状態で、転送先1では何もせず、転送先2では頭を叩いたとしたら、転送元の体はどのように感じるのだろう。単純に二つの信号が重なった状態で伝わってくるとしたら、脳は非常に混乱するのではないかと考えられる。転送が終われば完全に別な人間として存在できるだろうが、転送中の自我は極めて不安定な状態になるように思う。