基本設定
本作は主人公桜木花道が湘北高校バスケット部の一員としてバスケットボールに取り組み成長していく過程を描いたスポーツ漫画。このため作中で明示的に死んだ人間は少ない。また物理法則も現実世界に即したものとなっている。死によってその人の存在が失われると、二度と戻ることはない。
死にまつわるエピソード
桜木花道の父
桜木花道の父は桜木が中学生のときに自宅で倒れている。桜木は倒れていた父を助けるため病院に連絡しようとするが、直前にケンカで負かした相手に囲まれてしまう。危篤となった安西に適切な処置を施したあと、そのことを桜木が回想する。
谷沢龍二
「白髪鬼」と呼ばれていた頃の安西に指導された大学生。その厳しさに耐えかねて渡米するが、自身が望んでいたような進歩はできず、数年後現地で事故死。
当然ながら死後は本編に登場しないが、コミックスでは各話の間に挿入される一コママンガで幽霊として姿を現している。自身の墓を拝む安西を目にした谷沢の幽霊は「先生また太ったな…」とこぼす。谷沢のエピソードは酷なものであったが、この一コマがその重苦しさを緩和している。
死後は死亡時の自我と姿かたちを持ったまま、この世との繋がりだけがなくなる。思考し新たに記憶することも可能。作者井上雄彦の死生観を物語るひとつの例と言える。